暖かくなってきて嬉しい反面くしゃみと鼻水に苦しめられているしんこです。
今回はオーディオのDIY修理のお話。
貴重なカセットデッキを修理して使う
SONY最後のHiFi Audio カセットデッキ
音楽メディアとしては過去のものとなってしまっていますが,自宅ではいまだに現役のカセットデッキSONY TC-KA3ES。
今や貴重なカセットテープの録音・再生機ですぜ。
購入したのは2001年2月。
HiFi Audioのカセットデッキが世の中から消滅しそうな気配だったので,今のうちに買っとかないとという気持ちで購入しました。
その頃SONYのESシリーズカセットデッキで店頭に並んでいるのは本機くらいなもので,上位機種は既に市場から姿を消していたと思います。
当時はゴールドのコンポーネントオーディオが流行していて,当然TC-KA3ESもゴールドが販売されていました。
ただ自分的に少々飽きがきていたのと,学生時代にカタログで眺めるだけで高根の花だったブラックのESシリーズカセットデッキに対する強烈な憧れからブラックをチョイス。
それから20年以上オーディオラックの2段目に鎮座し続けてます。
メーカーの修理対応はとっくに終了
今さらですがSONYの修理可能判断でTC-KA3ESを調べると,製造終了は2003年8月で修理対応は2009年8月で終了しています。
買い換えする後継機も存在しませんから故障したら自分で修理するか,オーディオ修理専門業者にお願いするしかありません。
ちなみに現在までの修理履歴は
電源は入るが再生などがすべて作動しない
いつごろ発生したか覚えていませんが,既にメーカーの修理対応終了後のことです。
処置に困って数年間放置していましたが,Webで調べてみたらモードベルトが切れると発生する現象ということがわかって2017年に修理。
モードベルトはこちらで調達。
送り側のピンチローラーがゴムの劣化でホイールから剥離
2020年に部品を調達して修理。
幸いにして電気回路故障などのSONYタイマーは発動せず,劣化したゴム製部品の交換で息を吹き返しています。
ただし2020年にピンチローラーを交換して以降も,再生中に時々テープの速度が低下する不安定な状態が続いていて,ノーブランドの部品の実力はこんなもんなのかなあと諦めていました。
先日,久しぶりに動かしてみたら正常な速度での再生が全く不可能な状態に。
いろいろ調べているうちに,送り側キャプスタンの回転速度が明らかに低下していることを発見。
犯人はピンチローラーではなく,もしかしたらあいつかもという部品に気づいたので,今回修理しましたよ。
キャプスタンベルトの交換
キャプスタンベルトの調達
"あいつかも"と思った部品はキャプスタンベルト。
直径75mm,厚み0.5mm,幅5mmの平ベルトです。
部品はこちらで調達。
発注した翌日には到着。
こんな部品です。価格は¥336で送料は¥350。
TC-KA3ES分解修理
カセットデッキTC-KA3ESをオーディオラックから降ろします。
分解に入る前に電源を入れ,カセットホルダーを開いた状態でリッドカバーを上に引っ張って外します。
ここからは電源ケーブルを抜いての作業。
本体カバーの上面6本,側面は左右それぞれ2本のビスを緩めるとカバーを外すことができます。
カバーが外れました。
これが今回修理するメカ部分。
まずビスを2本緩めて,真ん中の梁を撤去。
メカ部分に接続されているコネクタを3か所外します。
次にメカ部分から出ているケーブルをたどって,基板に接続されているコネクタ3か所も外します。
本体をひっくり返して,底面にある矢印で示したビス2本を外し…
元の向きに戻して,上面の2本のビスを外します。
これでメカ部分はフリーになりました。
下側を引き上げるような感じで回転させ,本体から取り出します。
取り出されたメカ部分。
こいつが今回交換するキャプスタンベルト。ちなみに灰色の矢印で示しているのは2017年に修理したモードベルト。
メカ部分背面のプレートをビス4本を緩めて外します。
キャプスタンベルトが現れました。
左が新品。右が旧品。弾力がなく伸びきっていて,これでは送り側のキャプスタンに動力が伝達できないですね。
サクッと交換完了。
後は逆手順で復旧すれば修理完了です。
RCA端子のクリーニング
せっかくオーディオラックから降ろしたのでRCA端子のクリーニングもしちゃいましょう。
クリーニング液を付けてぐりぐりやれば完了です。
まとめ
テープの速度が不安定で,時々調子はずれな音を出していたカセットデッキでしたが,そんな現象は一切なくなって気持ち良く音楽が聴けるようになりました。
わずか¥336の部品で復活してくれてよかった。
モードベルト,キャプスタンベルトなどのゴムベルトはいつも千石電商のお世話になっていて,こういう部品が普通に販売されているのは本当に助かりますね。
さて昔懐かしい音源を楽みましょうか。