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しんこの鉄ちゃん史④ 小学校中学年の頃 函館本線・白石 L特急「いしかり」

この時期になるとヨーロッパのクリスマスマーケットが恋しくなるしんこです。

寒いけど華やかで,おとぎ話の世界に迷い込んだみたいで何とも楽しい。グリューワインは甘すぎるので苦手ですけど。

しばらくヨーロッパに行ってないなあ。行きたいなあ。

 

久しぶりに投稿のしんこの鉄ちゃん史。

こちらの続きです。

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しんこの鉄ちゃん史④ 続・小学校中学年から高学年の頃

L特急「いしかり」

485系1500番台デビュー

札幌市白石区に引越ししてから約4か月後の1975年7月18日のダイヤ改正で,道内初の電車L特急「いしかり」が札幌-旭川間に走り始めました。

 

それまでは煤けた気動車キハ82系だけだった道内の特急列車でしたが,図鑑や「電車なんでも入門」でよく見る,内地と同じ形をしたピカピカの485系電車特急が走り始めたのですから,すぐに虜になりました。

 

1500番台は内地を走っていた485系に耐寒・耐雪装備を施した車両で,ぱっと見でわかる外観上の特徴は,先頭車の運転台上の前照灯が標準型の1灯に対して,吹雪で視界が確保できるように2灯になっていることでした。

右が1500番台。この模型は本州へ撤退した後がプロトタイプになっているため,「いしかり」のトレインマークがありません。とりあえず「鳥海」にしてみました。

左が奥羽本線が秋田まで電化されたときに,特急「つばさ」を電車化するため投入された1000番台。番号は若いですが,1500番台の2年後に登場しています。

運転台上の前照灯の他に,尾燈の違いに気づいた人は鋭い。巻き上げた雪で尾燈が埋もれてしまうので,北海道の苗穂工場で外付け式に改造されています。

 

L特急って?

それにしてもL特急って変な呼び名ですよね。定義としては全列車自由席付きで,時刻表不要のぴったり発車。気軽に乗れる特急をイメージしたもの…という感じだったと思います。

 

L特急「いしかり」は正にそれを具現化したような異例の特急列車でした。

当時としては日本で唯一グリーン車を連結していない昼行特急列車で,普通車だけの6両編成。しかも指定席は2号車のみで他は全て自由席。

この頃,道内のキハ82系特急列車はグリーン車はもちろん全列車で食堂車を営業。自由席はなく,全車指定席という時代です。

 

ダイヤも時刻表いらずで,札幌発,旭川発共に8:00の始発以降は2時間毎のぴったり発車で7往復という,これぞL特急という列車でした。

 

485系1500番台は北海道でデビューする前に青森-大阪間の特急「白鳥」に使用され,耐寒・耐雪装備の試験で足慣らしをしていたはずなのですが…

 

北海道の雪に敵わず故障続出

その年,初めての冬を迎えたL特急「いしかり」は故障が頻発。

本州の湿った雪と違い,乾いた北海道の粉雪はわずかな隙間からも床下機器箱に侵入。溶けた雪で絶縁不良を起こしたり,再凍結により作動不良が発生したりしました。さらにはドアが凍結で開かなくなるなど,バタバタとダウンし運転打切り,運休が多発したのです。

 

本州仕様の485系にちょこちょこっと追加した程度の耐寒・耐雪装備は,北海道の冬に全く敵いませんでした。

 

しかしL特急「いしかり」がデビューする以前から,急行「かむい」や普通列車として活躍していた711系電車はノントラブル。

北海道の電化開業に合わせて徹底的に北海道向けに開発されていたからこそで,当時の北海道新聞の記事で”津軽海峡に浮かべても沈まないくらいの気密性を要求した…”という記述があったのをまだ覚えています。

 

781系電車の開発 北海道から撤退

485系1500番台のL特急「いしかり」は翌年から,冬季は計画運休で間引き運転を行い,予備車を確保するという厳しい状態で運用を続けていました。

 

そこで国鉄は根本的な対策として,北海道専用の781系特急電車を開発して投入したのです。

781系量産車が出そろった1980年,485系1500番台は青森運転所に転属して北海道から撤退しました。

 

転属後に東北方面の各線や,日本海縦貫線で活躍した485系1500番台でしたが,最後の車両が廃車されたのが2017年10月。

一方,北海道用に開発され,485系1500番台を引き継いだ781系が引退したのは2007年10月。

北海道では散々な目に遭った485系1500番台の方が後輩の781系より長生きしたという,何とも数奇な運命をたどった車両なのでした。

 

L特急「いしかり」に初めての乗車

快適な走りに感動

自分がL特急「いしかり」に乗車したのは意外と遅く,手元に残る特急券の日付によると,1978年(昭和53年)8月27日。

これは当時使用した硬券の特定特急券です。保存状態は良くないですが,ずっと残してあります。

丸に職のゴム印は国鉄職員の家族運賃料金割引で購入した切符という意味で,年に何枚か支給される割引証と引き換えに,5割引きで乗車券や特急券を購入することができました。

 

この日はL特急「いしかり」に乗ることが目的で,旭川まで1往復しています。それまでキハ82系の特急にも乗車したことがなかったので,人生で初めて乗る特急列車でした。

 

車内へ入ると駅の発車ベルの音もほとんど聞こえないほどの静けさ,高速でぶっ飛ばしても振動や騒音が少なく,線路のジョイント音が軽く聞こえる程度の軽やかで滑るような走りっぷりなど,気動車しか知らない自分には感動的な体験でした。

 

485系1500番台に乗車したのはこれが最初で最後。

 

本州に就職してから数々の特急列車や新幹線などに乗りましたが,この時ほどの衝撃はないですね。

 

41年振りの再会

新潟県の新津鉄道資料館には2015年に廃車されたクハ481-1508が展示されていて,2020年に感動の再会を果たしました。

互いに本州の地で再会することになるとはな。感涙。

 

つづく。